作曲の始め方 その10:簡単!近親調と転調・借用和音

近親調と転調・借用和音
この記事では、近親調と転調・借用和音について解説しますね。

転調・借用和音を使うとコード進行の幅が広がるので、ぜひ身につけてくださいね。

近親調と転調・借用和音でバリエーションが増える!

サブドミナントマイナーの使用例
これまでの記事では、ダイアトニックコードだけを使ってコード進行を作ってきました。

でも実際は、ダイアトニックコード以外のコードも使うことが多いです。

「じゃあ、どんなコードを使うの?使えるの?」については、「近親調のコードを使う」が基本になります。

近親調

1オクターブには12の音があって、12すべてがキーになれるんでしたよね。(例:キー=C、キー=C#、キー=D……など)

12のキーのうち、相性がいいキーを近親調と言って、↓のような関係にあります。

キー=Cの近親調

なんだか難しそうな表ですが……実際は簡単なので、一つずつ説明しますね。

主調

メインとなるキーのことです。

これまでの記事でいうと、キー=Cが主調になります。

同主調

以前の記事で解説した、「rootが同じマイナーキー」です。
(例:キー=Cとキー=Cm)

平行調

こちらも以前解説した、メジャースケールを6度から並べなおしたスケールです。
(例:キー=Cとキー=Am)

属調

5度の音から始まるスケールです。

主調がメジャーなら属調もメジャー、マイナーならマイナーになります。
(例:キー=Cとキー=G、キー=Cmとキー=Gm)

ここで注意なのが、「5度から並べ直した」ではない点です。

・Cメジャーを5度から並べ直した場合
G A B C D E F

・Cメジャーの5度の音から始まるメジャースケール(属調)
G A B C D E F#

下属調

5度下(=4度上=4度の音)から始まるスケールです。

主調がメジャーなら属調もメジャー、マイナーならマイナーになります。
(例:キー=Cとキー=F、キー=Cmとキー=Fm)

Fメジャーの構成音はF G A B♭ C D Eになります。

転調と借用和音

借用和音
途中でキーが変わることを転調比較的短い時間だけ変わることを一時転調といいます。

転調の場合でも、しばらくすると元のキーに戻ることが多いです。

また、他のキーから借りて来て使うコードのことを借用和音といいます。

転調も借用和音も、他のキーのコードを使うことで、ハーモニーや音使いの選択肢が増え、変化を生み出せます。

ツーファイブによる転調

以前の記事で解説したように、V7⇒Iという進行は、Iで終止感を強く感じますよね。

つまり、「Iが主役」だと強く感じさせるということです。

それを踏まえて、「キーCから、キーCの3度であるIIIm7に転調したい」という場合を考えてみます。

↓は、C⇒Emです。

いきなりC⇒Emと並べても、Emが主役になった感はまったくありませんね。

次は、CとEmの間に、キー=EmのV7であるB7を挟んで、C⇒B7⇒Emの形にしてみます。

B7はキー=Cにはないコードですが、自然に聞こえますし、「Emが主役になった感」もだいぶ強くなりました。

さらに、B7⇒Em(V7⇒I)のV7を、キー=Emのツーファイブ(IIm7-5⇒V7 、F#m7-5⇒B7)にしてみます。

ツーファイブにした後のコード進行はC⇒F#m7-5⇒B7⇒Emになります。

さっきよりも「Emが主役になった感」が強くなり、無事にCからEmへ転調できました。

このように「目的の音に向けて、ツーファイブの形で転調」は頻出するパターンです。

ピボットコードによる転調

ピボットコードとは、「転調前・後の両方のダイアトニックコードに共通するコード」のことです。

ピボットコードを機に、自然に転調できます。

キー=Cからキー=Dに転調したい場合を考えてみます。

まず、キー=CとDそれぞれのダイアトニックを見てみます。
キーC・Dのダイアトニックコード
(クリックで拡大)

コードEmが共通していますね。

このEmを境にして転調することができます。

↓の音源のような、キー=CでC⇒F⇒Em⇒G7があるとします。

キー=DでのEmは、IIm7ですよね。

そこで、Em⇒G7だった部分を、キー=DのツーファイブであるEm7⇒A7に置き換えたのが↓です。

キーCからDへの転調
(クリックで拡大)

↓は、転調したC⇒F⇒Em7⇒A7⇒Dです。

サブドミナントマイナーで切ない感じに

同主調のIVm7は、IV△7と同じ感覚で手軽に使えます。

次の音源は、

  • 元となるC⇒Dm⇒F⇒C(I⇒IIm⇒IV⇒C)
  • FをサブドミナントマイナーのFmに変更して、C⇒Dm⇒Fm⇒C
  • Fを「前半Fのまま、後半Fm」にして、C⇒Dm⇒|F Fm|⇒C
の3つを続けて弾いたものです。

サブドミナントマイナーがあると、なんとも切ない感じがしますね。

この切ない感じはみんな大好きなので、上手に使っていきましょう。(ただし、使いすぎはしこくなるのでNGです)

♭VIでも切なさを演出

IV⇒♭VIという進行は、IVmに似た感じを演出できます。

※♭VIは同主調Cmからの借用和音です。

↓の例は、VIm⇒I⇒IV⇒♭VI(Am⇒C⇒F⇒A♭)です。

♭VIは、VImと同じ感覚で手軽に使えます。

次の記事では、これまで紹介しきれなかった、ちょっとだけ特殊なコードを解説しますね。

作曲の始め方 その11:簡単!その他のコード
この記事では「作曲の始め方 その11」として、これまで紹介しきれていなかった「sus4」「dim」「aug」などのコードを解説しています。

この記事のまとめ

  • 転調・借用和音は同首調・平行調・属調・下属の関係を活用する
  • ツーファイブによる転調・ピボットコードによる転調はよく使われる
  • 同主調のIVm(サブドミナントマイナー)・♭VIはIVやIVの代わりに手軽に使えて、切ない感じを演出できる

次の記事では、これまで紹介しきれなかった、ちょっとだけ特殊なコードを解説しますね。

作曲の始め方 その11:簡単!その他のコード
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